帰参きさん)” の例文
旧字:歸參
「さあ、たしか、新富町しんとみちょう市川左団次たかしまやさんが、わびに連れてってくだすって、帰参きさんかなったんですが——ありゃあ、廿七、八年ごろだったかな。」
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
借着かりぎ浴衣ゆかた一枚で、障子へつらまったまま、しばらく茫然ぼうぜんとしていたが、やがて我に帰ると、山里の春はなかなか寒いものと悟った。ともかくもと抜け出でた布団の穴に、再び帰参きさんして考え出した。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)