左脇ひだりわき)” の例文
その墓の左脇ひだりわきにある別な墓を指し示しながらきっとそのあとでこのお墓へも香華こうげ手向たむけて行かれますお経料などもそのお方がお上げになりますという。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼はちょと立ち止まってステッキを左脇ひだりわきはさみ、衣兜かくしに入れた煙草の袋から一本抜いて口にくわえ、それからマッチをだして火を点けながら燃えさしのマッチの棒を地べたに捨て
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
行長等は紿あざむかれるとは知らないから大いに喜んで待って居たが、其時は李如松四万三千の人馬が、鴨緑江を圧して、義州に集中しつつあったのである。全軍を三つに分ち、左脇ひだりわき、中脇、右脇と呼んだ。
碧蹄館の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)