川洲かわす)” の例文
彼は、蛇籠じゃかご崖縁がけぶちから川洲かわすへ飛び降りて、瀬の狭くなる流れ口に足を踏み込み、いきなり、そこへ見えた黒いものをつかみました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十二月二十日は前夜来大分に雪が降りましたので朝未明まだきに雪を踏み分けながら川に沿うて東南にのぼって参りますとブラマプトラ川の川洲かわす——砂原のあちこちに夜来の雪が残って居ります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そして、彼の白い影が、逃ぐるが如く、川洲かわすから崖へ駆け上がった時、それと反対な川下へ、黒い水巴みずどもえが渦巻いて行きました……
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今朝も、まだ川洲かわすの砂に千鳥の足痕あしあとさえない夜明け方に、率八の舟は、かすみの中からゆうべの岸へ戻って来て
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ならば、そこの川洲かわすへお上がりなされませぬか。しばし、梁杭やなぐいにお舟をつないで」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)