嶮隘けんあい)” の例文
そのうちに、ふと前方を仰ぐと、両側の絶壁は迫り合って、樹木の枝は相交叉あいこうさし、天もかくれるばかり鬱蒼たる嶮隘けんあいな道へさしかかった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
余吾ノうみの水面は、こころもち明るくなって来たかと思われる。山坂の嶮隘けんあいにかかると、秀吉は馬を曳かせて、若者輩にも負けずに歩いた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかもその二路ふたみちとも嶮隘けんあいで奇計を伏せて打つには絶好なところですから、もしお許しを得るならばそれがしと全琮ぜんそうとで協力して、曹休を擒人とりこにしてお目にかけます。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜならば、関ヶ原以北の嶮隘けんあいな地形は、埋伏まいふくして待つものにとっては甚だ都合がいい。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)