峻峭しゅんしょう)” の例文
禅の機鋒きほう峻峭しゅんしょうなもので、いわゆる石火せっかとなるとこわいくらい早く物に応ずる事が出来る。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
奥白根でも、蔵王、鳳凰、地蔵岳、金峯山の山々でも、時により、ところによって、おのおの峻峭しゅんしょうな表情をして見せるのに比べると、海というものはさっぱり張合いがない——
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それより上は全くの神斧鬼鑿しんぷきさく蘇川そせん峡となるのだ。彩雲閣からわずかに五、六丁足らずで、早くも人寰じんかんを離れ、俗塵ぞくじんの濁りを留めないところ、峻峭しゅんしょう相連あいつらなってすくなからず目をそばだたしめる。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
温和な袁傪の性格が、峻峭しゅんしょうな李徴の性情と衝突しなかったためであろう。
山月記 (新字新仮名) / 中島敦(著)