岡焼おかやき)” の例文
旧字:岡燒
岡焼おかやきとしても念が入り過ぎた。狂か、痴か、いずれにしても今又自分が飛込んだら、どんな邪魔をするか知れないのだ。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
政界の名士沼南とも知らない行人の中には目に余って、あるいは岡焼おかやき半分に無礼な罵声を浴びせ掛けるものもあった。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「そんなに岡焼おかやきなさるから奥さんに嫌はれるんですよ。」お糸さんも亦忍び声で云つて笑つた。私も笑つた。
二黒の巳 (新字旧仮名) / 平出修(著)
はたの者が岡焼おかやき半分に、石川は他にい女があるので、捨てて往くつもりだと云ってたきつけた。
唖娘 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
地廻りの若い者たちに岡焼おかやきをさせた愛嬌のあるおかみさんと、お世辞のよい御亭主と、その間の可愛らしい子供から成り立った平和な家庭が、根柢からくだけてしまいました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この事はただちに人々の話題となり、彼女がせいの高い立派な服装なりをした色の浅黒い男と一緒に歩いているのを見たというものがあって、眼尻の下った連中に岡焼おかやき半分に噂されたものである。
「名案じゃ」「名案、名案!」と、たちまち一せいに拍手があって、若侍は半分は好意的に、あと半分はいま紅閨こうけいにお妙をようしているであろうことを岡焼おかやき的に、この緊急動議を決定してしまった。
くろがね天狗 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ちらりとにらんだ者がこちと等の仲間にあったのだ、そうしてその一人が、両国橋の女軽業の太夫元のお角さんとやらに似ていたとか、いなかったとか、岡焼おかやきめらが騒いでいるんだから始末におえねえ
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)