山颪やまおろ)” の例文
四方しほうやまかこまれた甲府こうふの町のことですから、九月になるともう山颪やまおろしの秋風が立ち、大きなテントの屋根は、ばさりばさりと風にあおられていました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
いや、たんなる山颪やまおろしとも思えないそれは悽気せいきをふくんだ家鳴りをなし、とたんに、天井でも落ちてきたような塵埃じんあいのかたまりが、墨みたいに捕手たちの松明たいまつを吹きつつんだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)