山海さんかい)” の例文
「明後日、立ってくれ。何しろ遠隔だし、知っての通り途中の山海さんかいには賊の出没もまま聞くところだ。で、君を見込んでやるのだから、しっかり頼む」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは山海さんかいの珍味づくしだった。車えびの天ぷら。真珠貝の吸物、牡牛おうしの舌の塩漬しおづけ羊肉ひつじにくのあぶり焼、茶ののおひたし、松茸まつたけ松葉焼まつばやき……いや、もうよそう。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
地球面の人類、その数億のみならず、山海さんかい天然てんねん境界きょうかいへだてられて、各処かくしょに群を成し各処に相分あいわかるるは止むを得ずといえども、各処におのおの衣食の富源ふげんあれば、これによりて生活をぐべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
山海さんかいの涼風にひとり眼をほそめているような静かな山上の人を知ると、なんとなく自分らもすべてをまかせ切ったおちつきの中にその姿勢を柔軟にゅうなんなものにしていられた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)