屏風巌びょうぶいわ)” の例文
娘の白いあごの少しばかり動くのを、甘味うまそうに、屏風巌びょうぶいわ附着くッついて見ているうちに、運転手の奴が、その巌の端へ来て立って、沖を眺めて、腰に手をつけ、気取ってるでしゅ。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
神職様かんぬしさま小鮒こぶなどじょうに腹がくちい、貝も小蟹こがにも欲しゅう思わんでございましゅから、白い浪の打ちかえす磯端いそばたを、八よう蓮華れんげに気取り、背後うしろ屏風巌びょうぶいわを、舟後光ふなごこうに真似て、円座して……翁様おきなさま
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)