小壺こつぼ)” の例文
小壺こつぼ(中庭)のうちの日当りわるい一室に尊氏はもう坐っていて、信濃を見るとただ一言「……上がれ」という。依然、尊氏の容子が信濃には異常だった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白紫色に華やぎ始めた朝の光線が当って、ひらめく樹皮は螺線状らせんじょうの溝に傷けられ、溝の終りの口は小壺こつぼくわえて樹液を落している。揃って育児院の子供等が、朝の含嗽うがいをさせられているようでもある。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
忘れもせぬ去年こぞの初秋、右馬介どののお手引きで、小壺こつぼノ浦で、うれしい半夜を、二人だけで語りました。その折の約束を、藤夜叉はついぞ破ったことはございません。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すぐ下は、小壺こつぼうらか。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)