寐顔ねがお)” の例文
その夜竜子はいつものように、生れてから十七年、同じように枕を並べて寝た母の寐顔ねがおを、次のからさす電燈の火影ほかげにしみじみと打眺めた。
寐顔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
音のしないように気を付けてそのそばすわった彼は、心持くびを延ばして、細君の顔を上からのぞき込んだ。それからそっと手を彼女の寐顔ねがおの上にかざした。彼女は口を閉じていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)