“寐返(ねがえ)” の例文
細君は床の上で寐返(ねがえ)りをしてあちらを向いた。そうして涙をぽたぽたと枕の上に落した。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
或時の彼は毎夜細い紐(ひも)で自分の帯と細君の帯とを繋(つな)いで寐(ね)た。紐の長さを四尺ほどにして、寐返(ねがえ)りが充分出来るように工夫されたこの用意は、細君の抗議なしに幾晩も繰り返された。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は眼を開けて時々蚊張(かや)の外に置いてある洋燈(ランプ)を眺めた。夜中に燐寸(マッチ)を擦って烟草(たばこ)を吹かした。寐返(ねがえ)りを何遍も打った。固(もと)より寐苦しい程暑い晩ではなかった。雨が又ざあざあと降った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)