富籤とみ)” の例文
そのうちにゃあ勝ちもした負けもした、いい時ゃ三百四百もにぎったが半日たあ続かねえでトドのつまりが、残ったものア空財布からさいふの中に富籤とみふだ一枚いちめえだ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あれはね、チイハという南京富籤とみを買う人間が、夢を見に来ているんだよ。——ナンキン墓へ来て昼寝をして、その夢をけんとくに富籤とみを買うとあたるという迷信があるのさ。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ムム、ありがてえ、アッハハハハ、ナニ、冗談じょうだんだあナ。べらぼうめえ、貧乏したってだれが馬鹿なことをしてなるものか。ああ明日の富籤とみに当りてえナ、千両取れりゃあ気息いきがつけらあ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
実は過日こねえだうちを出てから、もうとても今じゃあ真当ほんとの事アやってるがねえからてめえに算段させたんで、合百ごうひゃくも遣りゃあ天骰子てんさいもやる、花も引きゃあ樗蒲一ちょぼいちもやる、抜目ぬけめなくチーハも買う富籤とみも買う。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)