宗近むねちか)” の例文
自然石じねんせき形状かたち乱れたるを幅一間に行儀よく並べて、錯落さくらくと平らかに敷き詰めたるこみちに落つる足音は、甲野こうのさんと宗近むねちか君の足音だけである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうしたらそのお医者の宗近むねちかどんが、戸惑とまどいをして私の家へ参りましたので「呉さんのとこだ呉さんのとこだ」と追い遣りました。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
縦横に、前後に、上下しょうか四方に、乱れ飛ぶ世界と世界が喰い違うとき秦越しんえつの客ここに舟を同じゅうす。甲野こうのさんと宗近むねちか君は、三春行楽さんしゅんこうらくの興尽きて東に帰る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いつのに、こんなに高く登ったんだろう。早いものだな」と宗近むねちか君が云う。宗近君は四角な男の名である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)