安心立命あんしんりつめい)” の例文
さもしい話だが、当時私達は二十五円の月給を目標として学問に精進しょうじんしていた。今に二十五円取れると思うと、そこに安心立命あんしんりつめいがあった。
首席と末席 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
貴下方あなたがたが、到底対手あいてにゃなるまいと思っておいでなさる、わかい人たちが、かえって祖師そしあこがれてます。どうかして、安心立命あんしんりつめいが得たいともだえてますよ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あるいはまた一方には、学問によって生活上の懐疑をき、安心立命あんしんりつめいを得ようとする人々もあるであろう。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
「自分は美人だけれど少し器量が悪いと思っているところに安心立命あんしんりつめいがある。それでこそ鏡屋が立ち行くというものさ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
口が大きくても構いません。頬骨ほおぼねが高くても苦にしません。これが宜いんですよ。目美人でも額美人でも、兎に角美人という信念があれば安心立命あんしんりつめいが得られます。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「しかし河原君、僕はこれでも安心立命あんしんりつめいを得ているよ。この点、君にお礼を言わなければならない」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)