安倍能成あべよししげ)” の例文
岩波いわなみさんの所へ行った時に、丁度安倍能成あべよししげさんが見えていたが、この絵を見せたら、「うん、これは寺田さんの生涯の傑作だ。大事にし給え」
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
ここでは岡倉天心おかくらてんしんの茶の本とか唐詩選、安倍能成あべよししげと云う方のカントの宗教哲学と云ったぜいたくな書物まで乱読しました。
文学的自叙伝 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
安倍能成あべよししげ君が「京城けいじょうより」の中で「人柱ひとばしら」ということが西洋にもあったかどうかという疑問を出したことがあった。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
十一月八日 下落合しもおちあい目白、紅梅荘。草樹会。ルネ・クルッセ博士来らず。シャゼル来る。途中、安倍能成あべよししげを訪ふ。
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
今度私が此処ここに現われたのは安倍能成あべよししげという——これも偉い人で、やはり私の教えた人でありますが——その人が何でも弁論部の方と御懇意ごこんいだというので
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
安倍能成あべよししげ君が西洋人と日本人とで自然に対する態度に根本的の差違があるという事を論じていた中に
颱風雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その後に私は友人安倍能成あべよししげ君の「西洋哲学史」を読んで、ロイキッポス、デモクリトス、エピクロスを経てルクレチウスに伝わった元子論の梗概こうがいや、その説の哲学的の意義
ルクレチウスと科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
また友人小宮豊隆こみやとよたか安倍能成あべよししげ両氏の著書から暗示を受けた点も多いように思われるのである。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)