媒妁人ばいしゃくにん)” の例文
一昨日の晩始めて御牧と云う人物にい、又昨夜の会で、この縁談の媒妁人ばいしゃくにんを買って出ている国嶋夫妻等に紹介され、それらの人々の人柄や
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
兄も「どうでも」と云ったが、あとから、「しかし僕らのような夫婦が媒妁人ばいしゃくにんになっちゃ、少し御両人のために悪いだろう」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あなたは、あの夫婦の媒妁人ばいしゃくにんだった筈だし、また、かねてからあの夫婦は、あなたを非常に尊敬している。いや、ひやかしているのでは、ありません。まじめな話です。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
明日の晩でも構わんという向うの親たちの意気組いきぐみだけれども、大原君の父が故障を言って、にしろ人生の大事だからしかるべき媒妁人ばいしゃくにんを立てて吉日良晨きちにちりょうしんえらんで立派に婚礼させたい
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
翌日阿園は村をけ廻り、夫の心をめぐらすべく家ごとに頼みければ大事は端なくも村にれぬ、媒妁人ばいしゃくにんは第一に訪ずれて勇蔵が無情を鳴らし、父老は交々こもごも来たりて飛んで火に入る不了簡ふりょうけんを責め
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
彼は自ら媒妁人ばいしゃくにんをもって任じながら、その細君を連れて来ない不注意に少しも気がついていないらしかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
また媒妁人ばいしゃくにんは、大学で私たちに東洋美術史を教え、大隅君の就職の世話などもして下さった瀬川先生がよろしくはないか、という私の口ごもりながらの提案を、小坂氏一族は
佳日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
利害の論理ロジックに抜目のない機敏さを誇りとする彼は、吉川夫妻が表向おもてむき媒妁人ばいしゃくにんとして、自分達二人の結婚に関係してくれた事実を、単なる名誉として喜こぶほどの馬鹿ではなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)