みごも)” の例文
そのとき、みごもったのがそもじで、その名をベーリングが、末期の際に書いたというのも、ステツレルに対する懺悔ざんげの印なのじゃ。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
みごもっているらしく、だるそうな顔に、底知れぬ不安と、死の近づいているきざしたたえているのであった。
廃墟から (新字新仮名) / 原民喜(著)
彼が一段の得意は、二箇月の後最愛の妻はみごもりて、翌年の春美き男子なんしを挙げぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
神、この不思議を見ていたく驚き、アダムをおそれて自らが子となし給いしも、エヴは常の人と異ならざればしもめとなし、さてエヴといとなみしに、エヴみごもりて女児おなごを生みて死せり。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)