如此かくのごとき)” の例文
かくの如く嘉靖または万暦の初年と康煕の初年との間、ほとんど百年乃至ないし百五十年のうちにも髣髴ほうふつとして如此かくのごときの音韻変化の迹がたどられる。
吾が江戸ッ児には如此かくのごとき好漢今に幾千かを数え得る。但し、この自然児は長脇差の裔で、祖父も父も江戸に名高い顔役の一人であったとやら……。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
如此かくのごとき青年が順次家を成し、所謂いわゆる家庭を作るに当って、今日の如き家庭説、半驕奢趣味の家庭談を注入したる結果が、如何なる家庭を現じ来るべきか。
家庭小言 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
似たる事は似たれども、なる事は未だならずとは、如此かくのごときの事をや云う可き。さて汝云わずや。DS は「さひえんちいしも」とて、三世了達さんぜりょうだつの智なりとは。
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
今王政一新、四海属目しよくもく之時に当りて、如此かくのごとき大奸要路によこたはり、朝典を敗壊し、朝権を毀損きそんし、朝土を惑乱し、堂々たる我神州をして犬羊にひとしき醜夷の属国たらしめんとす。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
たしかに目撃候あいだ如此かくのごときの事また候へば云々うんぬん
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
亭主の言は実に如此かくのごときであった。そして女中して持ち来らしめた一鉢には、如何にも五、七円はしようと思わるるほどの蘭一株、花の摘まれた痕もいと新しかった。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)