女手おんなで)” の例文
光吉こうきちの父親は鉄道の駅員えきいんだったが、五年まえに事故じこのために殉職じゅんしょくした。その後、母は、女手おんなでひとつで光吉こうきちをいままでそだててきたのだった。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
「よく、女手おんなでひとつで、むすこさんを、これまでになさった。」と、いって、うしろについてくる正吉しょうきちながら、正吉しょうきちははをほめるのでした。
空にわく金色の雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
じや、もうしますわ。あたしは女手おんなでひとつで、青流亭せいりゅうてい切廻きりまわしていますからね、ひとにはえぬ苦労くろうもあるんですよ。ハッキリいうと、パトロンがあります。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
姫の帳台の後から、遠くに居る父の心尽しだったと見えて、二巻の女手おんなでの写経らしい物が出て来た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)