奥村政信おくむらまさのぶ)” の例文
釣枝、立木たちき、岩組、波布なみぬの、浪板の如きはなはだしく不自然なる大道具おおどうぐさながら浮世絵における奥村政信おくむらまさのぶ鈴木春信すずきはるのぶらの美人画の背景にひとし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それのみならず、既に紅絵べにえ時代においてさえ奥村政信おくむらまさのぶ鳥居清満とりいきよみつなどによって画かれていることを思えば、いかに特殊の価値をもっているかがわかる。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
享保のころ、べに絵の筆をとって一流を樹てていたのが名工奥村政信おくむらまさのぶ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
まず浮世絵山水画発達の経路を尋ねてその一を奥村政信おくむらまさのぶ以来広く行はれたる浮絵うきえ遠景図に帰し、その二を以て天明てんめい年間江戸に勃興ぼっこうせし狂歌の影響なりとなさんと欲す。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
鈴木春信の好んで描けるこれら小説的恋愛の画題は奥村政信おくむらまさのぶまた石川豊信いしかわとよのぶらのしばしば用ひたるものにして、あえて春信一人いちにんの手によりて浮世絵ちゅうに現されたるものにあらず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)