契沖けいちゅう)” の例文
契沖けいちゅうの歌にて俗人の伝称するものに有之これあり候えども、この歌の品下りたることはやや心ある人は承知致居いたしおることとぞんじ候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
仙覚・契沖けいちゅう・真淵らの霊極たまきはるの説、即ち、「タマシヒノキハマル内の命」の意とする説は余り有力でないようだが、つまりは其処に落着くのではなかろうか。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
契沖けいちゅうは律僧だからそういう歌を嫌ったというが、慈延じえんでも澄月ちょうげつでもそのために非如法ひにょほうの僧とはならなかった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
維新は、水戸義公の大日本史編纂へんさんをはじめ、契沖けいちゅう春満あずままろ真淵まぶち宣長のりなが篤胤あつたね、または日本外史の山陽さんようなど、一群の著述家の精神的な啓蒙によって口火を切られたのです。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
僧の契沖けいちゅうをして『万葉代匠記だいしょうき』をえらばしめたのもこれまた同じ人であることを想像し、その想像を儒仏の道がまだこの国に渡って来ない以前のまじりけのない時代にまでよく持って行った。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
契沖けいちゅうの歌にて俗人の伝称する者に有之候へども、この歌の品下りたる事はやや心ある人は承知致しをる事と存候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
第二句、「母之手放」は、ハハノテソキテ、ハハガテカレテ等の訓もあるが、今契沖けいちゅう訓に従った。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)