天龍川てんりゅうがわ)” の例文
新字:天竜川
天龍川てんりゅうがわのほとりに出てからも、浪士らは武装を解こうとしなかった。いずれも鎧兜よろいかぶと、あるいは黒の竪烏帽子たてえぼし、陣羽織のいでたちである。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
すでにその日は、天龍川てんりゅうがわのほとりにれた三騎のひとびと、はたして、翌日よくじつの午後までに、刑場けいじょう矢来やらいぎわまで、けつけることができるのであろうか?
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
淀川よどがわ筋では難場なんばが多く、水損みずそんじの個処さえ少なくないと言い、東海道辺では天龍川てんりゅうがわの堤が切れて、浜松あたりの町家は七十軒も押し流されたとのうわさもある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
天龍川てんりゅうがわのほとりに住む百姓三十一か村、後には六十五か村のものは、こんなふうにして彼らのくわを捨て、彼らの田園を離れ、伊那から木曾への通路にあたる風越山かざこしやまの山道を越して
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)