大鴉おおがらす)” の例文
いたずら者の大鴉おおがらすもきょうは少し様子が違うと思ったのか、紅い柿の実を遠く眺めているばかりで迂闊に近寄って来なかった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その中で、時折翼のような影がよぎって行くけれども、たぶん大鴉おおがらすの群が、円華窓の外をかすめて、尖塔の振鐘ピールの上に戻って行くからであろう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
と一羽の大鴉おおがらすが鳴くと、あちからも、こちからも、ぽち、ぽち、とした積藁のかげから、くろぐろとした翼を豊に張った無数の鴉が、次から次へと飛び立ち始めた。
かやの生立 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
自分は大鴉おおがらすだと言い言いしますが、あの人の手紙にも、自分は「かもめ」だと、のべつに書いてある。