大丼おおどんぶり)” の例文
平生ならば三つや四つ何でもない方だから少々胃吉いきち腸蔵ちょうぞうに気の毒だったけれども苦しいのを我慢して大丼おおどんぶりを一つ半たいらげた。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
私達は炬燵の周囲まわりに集った。隠居は古い炬燵板を取出して、それを蒲団ふとんの上に載せ、大丼おおどんぶり菎蒻こんにゃくと油揚の煮付を盛って出した。小皿には唐辛とうがらしの袋をも添えて出した。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「お豆腐のたきたては奈何いかがでごわす」などと言って、内儀さんが大丼おおどんぶりに熱い豆腐の露を盛って出す。亭主も手拭を腰にブラサゲて出て来て、自分の子息が子供相撲ずもうに弓を取った自慢話なぞを始める。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)