多聞丸たもんまる)” の例文
多聞丸たもんまるの声である。——下の千早川ちはやがわで水遊びでもしているのだろう、父の姿を見つけ、木立で埋まっている断層の下から遥かに呼んでいる。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元服を去年すまして、幼名多聞丸たもんまる正行まさつらとあらため、ことし十四をかぞえる正行だった。もとより重大な使いならこの正行をよこすはずもない。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはあったね、閑人ひまじんとみて、みんな茶ばなしに寄ってくるんだな。そのなかに、はや、むかしだが、水分みくまり多聞丸たもんまる(正成の幼名)とかいうのもいたね。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これまでの“楠公伝なんこうでん”や河内郷土史などの上では。一様に、幼名多聞丸たもんまるといった楠木正成は、八歳のころより、同地の大江時親について、兵学を学ぶ——としている。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
したが、さいぜんから多聞丸たもんまるさまが、父君が転法輪寺の内へ入った、父君が来たと、みなへ言いふれ、お帰りには立寄ってくださるものと、独り極めに嬉々ききとしておられまする。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さだめし多聞丸たもんまるたちの幼い者も帰りたがっておりましょう。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正成の嫡男、後の正行まさつら、幼名多聞丸たもんまるだった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、多聞丸たもんまる正行まさつら)よ」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)