つつみ)” の例文
行人の故郷を回顧する目標なるがゆえに見返りの橋と名づけられ、向いの森は故郷の観をさえぎるゆえに隠しの森と呼ばれ、むこつつみの上に老いたる一樹の柳は
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
浪華なにわから中国へかけての新田には中世まで白帆の船の走っていたところが多い。大小の島々はつつみに繋がれて陸地となり、その蔭を今は汽車が往来している。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
つつみと、堀とを、すっかりこしらえさせてやりました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さりながら一行はまださかずきを挙げざりき、人々は皆気をいらちて越し方を見回れり、はるかのつつみに勇蔵夫婦の影ようやく顕われぬ、彼らは暫時柳の蔭に坐し顔を見合わせ言葉なし
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)