塗師ぬりし)” の例文
コウン、コウン、コン——青蓮院しょうれんいんの山門には、足場がかかっていた。夏の暴風あらしで破損した欄間彫らんまぼりへ二人の塗師ぬりしと三人の彫刻師ほりしとが来て、修繕していた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この鍛冶屋は仕事の合間々々に塗師ぬりしの仕事もして、この界隈ではなかなか上手な画工だといふ評判だつた。
これらは素地でありますが、これに塗師ぬりし蒔絵師まきえし沈金師ちんきんしとが加わって様々な漆器が出来上ります。輪島のものはぬりが手堅いのを以て世に知られ、その年産額は三百万円ほどに達するといわれます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
山門の足場に、白い霜が下りるころになると、その足場はこわされて、仏師や塗師ぬりしたちも来なくなった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つくっていただけまいか。もとより鍛冶、矢柄師やがらし塗師ぬりしなどの工匠はいくらでもお使いになって
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鍛冶かじ塗師ぬりし鎧師よろいしなどの工匠たくみたち、僧侶から雑多な町人や百姓までが——その中には被衣かずきだの市女笠いちめがさだのの女のにおいをもれ立てて——おなじ方角へ、流れて行くのだった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)