堅肥かたぶと)” の例文
末子も目に見えてちがって来た、堅肥かたぶとりのした体格から顔つきまで、この娘はだんだんみんなの母親に似て来た。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
勝平が、その堅肥かたぶとりのおおきい手を差し出そうとした時、瑠璃子は初めて声を出してしっした。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
葉子の目は意地わるくけんを持って冷ややかに小柄で堅肥かたぶとりな愛子を激しく見すえた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
岸本はその頃のさかりの園子を、女らしく好く発達した彼女を、堅肥かたぶとりにふとっても柔軟しなやかな姿を失わない彼女の体格を、記憶でまだありありと見ることが出来た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)