四更しこう)” の例文
この家には妖怪があって、しばしば人を殺すと伝えられていたが、彼は平気で眠っていると、夜の四更しこう(午前一時—三時)とおぼしき頃に、黄衣の人が現われて外から呼んだ。
西山荘の門は閉じられ、三更さんこう四更しこう、雲もしずかに、山の尾根や山ふところに深く臥した。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四更しこう傾月けいげつに影を踏んで帰る。風流なようだが、露にぬれた。もうそんな話あ聞きたくもねえや。だがな鈴源、俺が貴様ん所に厄介になってから、これで何月になるかなあ?」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
稲葉山から長良川ながらがわの空をかけて、頻りと、時鳥ほととぎすの啼く四更しこうの頃であった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四更しこうの頃、むくと、光秀はね起きて、臥床ふしどのうえに坐っていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真に思いもかけなかった桂川かつらがわのながれを四更しこうの空の下に見ていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
焚火たきびほのおはいよいよさかんであるし、明日のてもついたというわけなので天城四郎初め元気づいて、なお蛮歌と乱舞をそれからも夜の四更しこうにかけて続けていたが、やがて見張役の下っ端が、遠くから
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう四更しこうに近い頃だった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)