さつき)” の例文
少時しばらくするとさつきの老人がそこへ現はれた。然し姿は前とは異つて、羽織を着け袴を穿いてゐた。
少年の死 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
きつと要求は容れますけれど、さつきから散々の目にあはされて、何だか酷く心持が悪くてなりませんから、今日はこれで還して下さいまし。これは長座ちようざをいたしてお邪魔でございました。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いやさう言れると慄然ぞつとするよ、実はさつき停車場ステエションで例の『美人びじクリイム』(こは美人の高利貸を戯称せるなり)を見掛けたのだ。あの声で蜥蜴啖とかげくらふかと思ふね、いつ見ても美いには驚嘆する。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)