器物うつわ)” の例文
と、愛想気なく知らせて来た時には、紋十郎はカッとなり、器物うつわでも投げそうな見幕であったが、何んと思ったかカラカラと笑い
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かたなだの、軸ものだの、文庫にはいっている古い書類だの、そのほか色々な器物うつわが、古道具屋の店みたいに並べてありました。
虫干し (新字新仮名) / 鷹野つぎ(著)
「ありがとうございました。だんな様が、ここにござったで、器物うつわは壊されずにすみましただ」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから起こった光景はと云えば、床が傾いたのでがんが倒れ、龕が倒れたので火を発し、それが器物うつわへ燃え付いて、地下室が見る見る火事になったのである。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
獣油のともしびに点されて仄かに見えるは寝台である。寝台の横手の巌棚の上に無数の器物うつわが載せてある。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
棚が仆れ器物うつわ破壊こわれる。ともうすっかり仲よくなり、唄い出すは「ナカノリさん」だ。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)