嗣子あととり)” の例文
勘さんの嗣子あととりの作さんは草鞋ばきで女中を探してあるいて居る。ちとさそうな養蚕かいこやといの女なぞは、去年の内に相談がきまってしまう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
初めお勢が退塾して家に帰ッた頃「いさみという嗣子あととりがあッて見ればお勢は到底どうせ嫁に遣らなければならぬが、どうだ文三に配偶めあわせては」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
たよりにしきっている最愛の嗣子あととり息子の新之丞も、いままたこの無残な殺されかたをして……しかも怪猫はあいかわらずかげもかたちもなく
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「それでも可いさ。然しれやうか、嗣子あととりぢやないかい」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
其処にはお婆さんには孫、与右衛門さんには嗣子あととりであったきつい気のちゅうさん、海軍の機関兵にとられ、肺病になって死んだ忠さんも葬られて居ます。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
東京のさる身分ある人の女で、里子に来て、もらわれて橋本の女になった。橋本の嗣子あととりが亡くなったので、実弟の谷さんを順養子じゅんようしにして、いさちゃんをめあわしたのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)