喧嘩面けんかづら)” の例文
「人のつらをみると、すぐ喧嘩面けんかづらだからッかなくってしようがねえなあ。竹童、おめえとおれとは、なにも仇同志かたきどうしじゃあるめえし、そういつまでを持つことはねえじゃねえか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すべてが順当に行った。播いた種はのびをするようにずんずん生い育った。仁右衛門はあたり近所の小作人に対して二言目には喧嘩面けんかづらを見せたが六尺ゆたかの彼れにたてつくものは一人もなかった。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
なまじ紹介状があるだけに、喧嘩面けんかづらで、宿を替えるとも言われない。前世ぜんせごう断念あきらめて、せめて近所で、蕎麦そば饂飩うどんの御都合はなるまいか、と恐る恐る申し出ると、饂飩なら聞いてみましょう。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
陳宮は、弓を投げつけて、ほとんど喧嘩面けんかづらになって云った。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)