喉佛のどぼとけ)” の例文
新字:喉仏
それから、しはで、殆、鼻と一つになつた唇を、何か物でもんでゐるやうに動かした。細い喉で、尖つた喉佛のどぼとけの動いてゐるのが見える。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
喉佛のどぼとけの碎けて居る樣子や、たいした抵抗もなくやられた樣子は、明らかに恐しい剛力で後ろからめたものに違ひありません。
何故今夜に限って洋服を着て居るのか、真っ暗な隣りの部屋には何があるのか、まだいろ/\聞いて見たい事はあっても喉佛のどぼとけにつかえて居て容易に口へは出て来ない。
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「言ふよ、言ひますよ、——言はなくてうするものですか、——おう痛てえ、喉佛のどぼとけがピリピリするぢやありませんか」
「驚いたなア、持ちつけねえ金を持つと、喉佛のどぼとけたゝるとは知らなかつたよ」
「聲も男にしては細いし、よく氣をつけて見ると、喉佛のどぼとけが見えない」