呑気者のんきもの)” の例文
伏見屋が没落してからは、人足にまで身を落しましたが、臆病馬吉という綽名あだなで呼ばれて、本人も大して極りも悪がらずに返事をする呑気者のんきもの
呑気者のんきもの、労働者、知識階級、貧乏人、物持ち、それらは問わない、如何なる種類の人でも、本当の心持をうたったものは結構。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
呑気者のんきもののすることは違つたものだ。今に自分も犬と一緒に腹をかすやうになるまでさ。」とる者は言ひました。
犬の八公 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
戦争末期の物量ぶつりょう不足で、ほんの僅かなものを、しかも一定容量ようりょうの制限で、夜おそくまで準備している母親の様子を見ると、さすがに私のような呑気者のんきものもしんみりしてくる。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
何より有難いのは、そんな婆さんにも似合わず、楽天的な呑気者のんきもので、主人が何者であるか、彼が土蔵の中で何をしているか、という様なことを、猜疑さいぎ穿鑿せんさくしなかったことである。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
別段怪我も無いし、お比奈さんの可愛らしい頬が、火ぶくれになったわけでも無いから、そのまま八五郎が帰るのを待ちましたが、この子と来たら、御存じの通りの呑気者のんきものでしょう
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
人は僕を呑気者のんきものと云ってるけれど、それは皮相の観察で、実は僕は無抵抗者なんだ。然し、無抵抗者と無抵抗主義者とは違う。主義となると、其処に一種の排他的抵抗が出て来るものだ。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
この頼みが持込まれたとき、さすが呑気者のんきもののガラッ八も、再三辞退しました。