呂々りょりょ)” の例文
下の空濠からぼりへ急落している崖のあたりで、野獣の跳ぶような木の折れる音がした。——それがやむとまた、笛の音は、呂々りょりょと、星の空をながれて遊んでいた。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と思うと——こんどは不意に、前よりは数倍近い所に、呂々りょりょとした音が起こって、もうその人はやがて坂の中段を横に切って行く渓流けいりゅうの丸木橋までかかってきたかと思われる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
嘈々そうそうとしてやまず、呂々りょりょとして尽きるところを知らぬ一節切ひとよぎりの吹きも、今はうつつであるだろうか。吹いては一歩、流しては一歩、夜旅の興趣と、おのれの芸味に酔いつつ来るのだろうか。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尺八の呂々りょりょはいつまでもかどを立ち去らない。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呂々りょりょと、笛は鳴りはじめた——
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)