わつ)” の例文
も見ずしてにげ行きけり此方の父女おやこは思ひも因ぬ管伴ばんたう忠兵衞が斷りにゆめかと計り驚きつ又はあきれてかほ見合みあは少時しばし言葉もあらざりしがお光はわつと聲立て其所へかつぱと打伏つ前後ぜんご正體しやうたいなきさけびぬ父もなみだに目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見給はゞ嘸驚きもなさる可く又お歎もなさる可しと思ひ廻せばまはすほど死で行身は悲歎かなしみもあらねど後へお殘りなさる其悲歎は如何ならん不孝はおゆるし下されと口には云ねど意の中おもひつゞけ打詫うちわぶる涙はむねにせぐり來てわつと計に泣出さんと爲しが父や目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)