吸付すいつ)” の例文
マッチも出て居たろうけれどもマッチも何も知りはせぬから、ストーヴで吸付すいつけた所が、どうも灰吹がないので吸殻すいがらすてる所がない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
青地に金モールの給仕服ユニフォーム身体からだにピッタリと吸付すいついているが、振袖ふりそでを着せたら、お化粧をしなくとも坊主頭のまんま、生娘きむすめに見えるだろう。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
二人は守宮やもりのように塀に吸付すいつきました。向島——と言っても諏訪神社の裏手、寺島の百姓家にまじって、寮造りのと構えへお秋は案内して来たのです。
十字架観音 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
というのは午後十一時過ぎのようにまったく遊び専門の人種になり切っていなかった。いくらか足並あしなみに余裕を見せている男達も月賦げっぷ衣裳いしょう屋の飾窓かざりまど吸付すいついている退刻ひけ女売子ミジネットの背中へまわって行った。
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)