吝嗇家りんしょくか)” の例文
支出に対する租税は吝嗇家りんしょくかのがれるであろう。彼は毎年一〇、〇〇〇ポンドの所得を有ち、そして単に三〇〇ポンドを費すに過ぎないであろう。
鈍根な貧乏性をかたくなに守っている吝嗇家りんしょくかのように、本多正信とぼそぼそ話していない時は、独り居室で書物などひもといている折が多かった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弟はおとなしい吝嗇家りんしょくかで、牧師だから貧しい人々に出会えば施与をしなければならないと思ってはいたが、小銭だの法価を失った銅貨だのしか恵まなかった
大長丸の持主は扶原という老人で、その村でも一か二といわれる金持であり、貝の缶詰工場を二つも持っていたが、職人を酷使したりひどい吝嗇家りんしょくかとして有名だった。
お繁 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
自体、内匠頭とやらは、吝嗇家りんしょくかの物知らずとみえる。こんな、田舎漢いなかものに、堂上方の歓待役もてなしやくが勤まってたまろうか
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口を開けば常に解脱と犠牲とを説く君のイエスに私は熱中することができない。それは乞食こじきに対する吝嗇家りんしょくかの助言である。解脱! 何ゆえか。犠牲! 何物に対してか。
有名な吝嗇家りんしょくかであったが、しかししっぽをつかまれるような吝嗇家ではなかった。根本においては、自分のでき心や義務のためには容易に浪費者となるていの蓄財家だった。
もう一年越しになる借金、吝嗇家りんしょくかの渋沢、催促も根気がいい。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はおのずから敵の目標となった。角面堡かくめんほうの上から半身以上を乗り出していた。感情を奔放さした吝嗇家りんしょくかほど激しい浪費をなすものはなく、夢想家ほど実行において恐ろしいものはない。