同棲いっしょ)” の例文
で、マア、その娘もおれの所へ来るという覚悟かくご、おれも行末はその女と同棲いっしょになろうというつもりだった。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
其の伊右衛門は同じ家中かちゅう四谷左門よつやさもんの娘のおいわとなれあいで同棲いっしょになっていたが、主家の金を横領したので、お岩が妊娠しているにもかかわらず、左門のために二人の仲をさかれていた。
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
お前さんと同棲いっしょになってから三年になるが、その間真実ほんとうに食うや食わずで今日はと思った日は一日だって有りやしないよ。私だって何も楽を仕様しようとは思わんけれど、これじゃあんまりだと思うわ。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
三年越し同棲いっしょに成って来たと云うが、苦味走った男振りも、変な話だが、邪慳じゃけんにされる所へ、細君の方が打ち込んで、随分乱暴で、他所目よそめにも非道いと思う事を為るが、何様どうにか治まって来た。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
お前はきっとそうしたら一所に行くとおいいだろうが、おかみじゃ、牢の中で、同棲いっしょに置いては下さいません。第一お前、今ここで、私がお前を帰さなかったら、どうしてその人に逢えますね。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)