合体がったい)” の例文
旧字:合體
一首全体として見れば、武蔵野と丘陵と雉の生活と、別れた夫を慕う心と合体がったいして邪気の無い快い歌を形成している。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「じゃアひとつ、北国路へでもいって、あの敦賀津つるがつの海にべんがらをおッ立てている、龍巻たつまき九郎右衛門くろうえもん合体がったいして、こんどは海べのほうでも荒してやるか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
察するにあの活溌かっぱつな飛乗りの運動に合体がったいしたのが後の進化であって、最初はまず唱えごとの耳新しさが、小さな人たちの興味を誘うたので、それがまた奇抜きばつな文章言葉の
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
衛府の者どものうちに左大臣や信西入道に心をかよわす者があって、早くもそれを敵に注進されたら、あの精悍な頼長と老獪ろうかいな信西とが合体がったいして何事を仕向けるかもしれない。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
われらに合体がったいして来るべきだが、かなしいかな元就もとなり以来の毛利は、保守、排他、旧態固執きゅうたいこしつ、その国政は一毛利家の家計にとどまり、その奉じるところすべて私業に過ぎない。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
臆病風おくびょうかぜにさそわれてきたのだろう。江戸表にいるうちは、貴様も吾々と合体がったいして、どこまでも、法月弦之丞をつと誓い、また、万吉も生かしてはおけぬとののしっていたではないか」
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)