古金ふるがね)” の例文
軒に古金ふるがねがたくさん積んであるのでもわかったし、真っ黒にいぶっているひさしは、どうあっても鍛冶屋の家でなければならない。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蠑螺堂さざえどうこわし屋が買いましたが、百観音は下金屋したがねやが買いました。下金屋というのは道具屋ではない。古金ふるがね買いです。
「それが氣に入らぬのぢや。筋の通つた人間でも立てることか、桂庵を内職にして居る町の誰彼れ——たとへば隣家の古金ふるがね買ひ、金兵衞のやうな人間では話になるまい」
出水に洗われた川砂を掘りちらして、伊織は、錆刀さびがたなの折れだの、しょうの分らぬ古金ふるがねなど拾って興がっていたが、そのうちに
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一家は綿わたの師匠でお鶴といふ中年の一人者、一番手前の一軒は古金ふるがね買の金兵衞の家で、これはおびたゞしいガラクタの山の中に住んでゐるやうな暮し、子澤山と見えて恐ろしく丈夫な物干竿が三本
散所民の女子供たちが、古金ふるがねやボロの山をかこんで、小舟で運ぶ物をふるい分けているのだった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに、水をたたえ、古金ふるがねの焼いたのを、投げこむと、いいあんばいにいてくる。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)