古幟ふるのぼり)” の例文
鎮守さまのお祭のときなどには、古幟ふるのぼりをついだ天幕張りの小屋をかけ、貴重なる学術参考『世界に唯一人の海盤車娘ひとでむすめの曲芸』
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その晩、信州路を廻って、散々の不入に悩まされた軽業かるわざの一座が、安泊りに入る路用もなく、碓氷峠の出口に、古幟ふるのぼりを天幕にして、馴れた野宿をして居りました。
裸身の女仙 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
小屋の内を眺めると、何か大きな動物のあばら骨でも見るように雑な丸太組のホッ建て小屋で、無数の藁蓆わらむしろと、へんぽんたる古幟ふるのぼりとあまたのビラと、毒々しい幕と緞帳どんちょうとで粉飾されています。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてこれがまぎれもなく銀平の率いる曲馬団に相違ないことを知ったが、丁度幸いにもいま座長の銀平老人は、古幟ふるのぼりつづったぎはぎだらけの垂れ幕の向うに茶を飲んでいるということであったから
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)