取壊とりこわ)” の例文
手錠をはめられ板木はんぎ取壊とりこわすおかみ御成敗ごせいばいを甘受していたのだと思うと、時代の思想はいつになっても、昔に代らぬ今の世の中
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
数十万円を投じたその地下道を惜気おしげもなく取壊とりこわし、改めて某区の出版会社の倉庫の中に、新道を造ったほど、やかましいものだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
納屋なやのようなものが立っていて、家全体がいかにも暗ぼったい感じがするので、「あれは何なの?」ときいてみると、「それはいずれ取壊とりこわそうと思っていますが……」
朴の咲く頃 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)