卒中そっちゅう)” の例文
成斎は卒中そっちゅうで死んだ。正弘の老中たりし時、成斎は用人格ようにんかくぬきんでられ、公用人服部はっとり九十郎と名をひとしうしていたが、二人ににん皆同病によって命をおとした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あるいは上がりはなから転げ落ちるはずみに何かで打ったのか、医者にも確かに見極めが付かないらしく、結局おまきは卒中そっちゅうで倒れたということになった。
半七捕物帳:12 猫騒動 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
〈医者は卒中そっちゅうだというが、卒中で死んだ者の身体がまだらになるはずはない——〉というのが投げ文の文句ですよ。
コトエのうちでは最近、おばあさんが卒中そっちゅうでなくなり、ソンキのお母さんはリョウマチでこんでいるという。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
まア、卒中そっちゅうか、早打肩はやうちかた。……あの通りの大酒くらいですから、さもありそうな往生。……あッという間もなく、自分でも気のつかねえうちに死んじまったろうてんです。
顎十郎捕物帳:06 三人目 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「傷もないそうですから、卒中そっちゅうかなんかじゃないでしょうか、書生しょせいさんも見ていらっしゃいよ」
雀が森の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
(平生、大酒家であったため、卒中そっちゅうで仆れたことは確かである)
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
卒中そっちゅうじゃないか」