半井なからい)” の例文
『医心方』は禁闕きんけつの秘本であった。それを正親町おおぎまち天皇がいだして典薬頭てんやくのかみ半井なからい通仙院つうせんいん瑞策ずいさくに賜わった。それからはよよ半井氏が護持していた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その人こそ現今いまも『朝日新聞』に世俗むきの小説を執筆し、歌沢うたざわ寅千代の夫君として、歌沢の小唄こうたを作りもされる桃水とうすい半井なからい氏のことである。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
浜田が益子ましこにいるので、年々幾度か東京との間を往復し、栃木県には親しみが出来た。それに一時は半井なからい知事がおられたので、県下を旅する機会が更にふえた。
野州の石屋根 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
半井なからい広明の呈した本は三十巻三十一冊で、けんの二十五に上下がある。こまかに検するに期待にそむかぬ善本であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
半井なからい本の『医心方』を校刻するに当って、仁和寺本を写した躋寿館の旧蔵本が参考せられたことは、問うことをたぬであろう。然るに別に一の善本があった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)