北甘楽きたかんら)” の例文
行脚随筆といふ百数年前の紀行に、上州北甘楽きたかんら郡下滝村の慈眼寺に、古いしだれ桜の木のあつたことを記して居る。
信濃桜の話 (新字旧仮名) / 柳田国男(著)
裏に出ると、浅間のけむりが正面に見えて、その左に妙義がちょっと頭を出していて、それから荒船あらふねの連山、北甘楽きたかんらの連山、秩父の連山が波濤はとうのように連なりわたった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
それが川へはいると、また普通の眼二つになるといいましたが、それでもこの明神の氏子は、鰻だけは決して食べなかったそうです。(山吹日記。群馬県北甘楽きたかんら郡富岡町曽木)
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
共古日録きょうこにちろく巻六にれば、群馬県北甘楽きたかんら地方では、十月十日をトオカンヤといい、この夜は子供等わらにて太きなわをこしらえ、地面を打ちまわる。土龍除むぐらもちよけ呪法じゅほうだという。その歌の文句は
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)