北原白秋きたはらはくしう)” の例文
北原白秋きたはらはくしう君のビフテキも、やはり、うまいのに違ひない。宇野浩二うのかうじ君がロオスト・ビフに適してゐることは、前にも何かの次手ついでに書いておいた。
食物として (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
木下杢太郎きのしたもくたろう北原白秋きたはらはくしう諸家の或時期の詩篇には築地の旧居留地から月島永代橋つきしまえいたいばしあたりの生活及び其の風景によつて感興を発したらしく思はれるものがすくなくなかつた。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しひ松浦まつうら」のあつた昔はしばらく問はず、「江戸の横網よこあみ鶯の鳴く」と北原白秋きたはらはくしう氏の歌つた本所ほんじよさへ今ではもう「歴史的大川端おほかははた」に変つてしまつたと言ふ外はない。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
三汀及びその仲間の仕事は詩に於ける北原白秋きたはらはくしう氏の如く、俳諧にアムプレシヨニスムの手法を用ひしものなれば、面白がりて読みしものなり。この時代にも句作はほとんどせず。
わが俳諧修業 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さもないとかへつて小説家が(小説としての威厳を捨てずに)大衆文芸家の領分へ斬りこむかも知れぬ。都々逸どどいつは抒情詩的大衆文芸だ。北原白秋きたはらはくしう氏などの俚謡りえうは抒情詩的小衆文芸だ。
亦一説? (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
山の空にはやはり菱形ひしがたの凧。北原白秋きたはらはくしうの歌つた凧。うらうらと幾つもただよつた凧。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)