勘所かんどころ)” の例文
この暴女王をあしらいの勘所かんどころでもあると思いますから、お角はあえてそれ以上には押すことなく、また押すべき必要もないと口をつぐみます。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「それ見るがいい。お前だって一生懸命になりゃ、ちゃんと勘所かんどころを押えて来るじゃないか。あとはほんの一と息だ」
妙な勘所かんどころを押えることの天才である。ひょっとすると、それが詩人なのかもしれない。
詩人への註文 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「それ見るが宜い。お前だつて一生懸命になりや、ちやんと勘所かんどころを押へて來るぢやないか。あとはほんの一と息だ」
そこは神尾が今日までの体験の持越しで、今以てうだつが上らないのみか、ますます深みへ落ちて行く勘所かんどころだ。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ああいう不思議な勘所かんどころを押える力は天賦のものであろう。もっとも今さら杜詩をひき出すまでもなく、芥川の芭蕉論などにも、この勘所を押える力については、見事な説明がある。
詩人への註文 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
御尤ごもっともでございますよ、太夫元さま、そのお見立ては、さすがに勘所かんどころでございます、実は、わたくしも先年、まざまざと心中者の最期を見届けた覚えがございますんで
そのうちに道具屋をはじめたのは勘所かんどころだ。人間、遊び出してきてかおが広くなると、ばったり行きつまるのは水の手だ。その手で、この神尾もどのくらい苦労したことか。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
態度の不作法なるに拘らず、この婦人の建築のながめ方には勘所かんどころを心得たものがある。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)